現在、機材藩では「機材藩制作支援システム」というソフトウェアを開発しています。開発に至った経緯と大まかな仕様を紹介します。
2014年9月に私たちは佐野日本大学高等学校文化祭において舞台の撮影をしました。そこで現場の藩士から「インカムが無いから意思疎通が図れない」という声が上がりました。現在、業者や他の団体等では光ケーブル1本でカメラからスイッチャーへ映像を送るほかにリターン・インカム・タリーなどの情報をやりとりすることで意思疎通を図っています。
BlackmagicDesign: BMD社のATEM Studio and Camera Convertersを機材藩でも導入を検討した結果以下の結論に至りました。
・ 導入には多額のコストがかかる
※ ATEM Studio Converterを親機、ATEM Camera Converterを子機と呼ぶこととする。
インカムやタリーランプの機能を持たせること、光ケーブル1本で映像の送りと返しができることなどから上記の機材を選定しました。もちろんこの機材一式を揃えることができれば、ここで話は終わります。しかし、問題はその価格です。プロの方々からしてみれば「なんだこの価格は!」と安さに驚くかもしれません。
ただし、趣味でやってる学生と20代のお兄さんたちには「なんだこの価格は????」なのです。親機が22万円、子機が(機材藩藩士が所有するカメラ分買ったとして)7万円×5台と考えて、合わせて5,60万は飛んでいってしまいます。我々貧乏団体…結局はお金の問題です。困ったお兄さんたちは考えました・・・。
「自分たちで作ってしまえ」
「タリーランプ・インカム・リターンのシステムを作ってしまえば良い」
「いちいち配線するのは面倒だから無線LANを使って。」
困ったお兄さんたちです。「泣かぬなら作ってしまえなんとやら」ですか、織田信長もビックリです。
そういうわけで「機材藩タリーインカムシステム(仮)プロジェクト」が始まりました。
大まかな仕様は以下の通りです。
-ソフトウェア名称-
・機材藩制作支援システム For Host (親機)
・機材藩制作支援システム For Client (子機)
-動作環境-
・Microsoft Windows が動作するタブレット端末
・Android が動作するタブレット端末もしくはスマートフォン
-機能-
◯タリーランプ; オンエア判別機能
スイッチャーの信号を解析し、画面上に表示及びUSBで接続したタリーランプユニットを発光させる。この際オンエアされているカメラは赤色、スタンバイ(スイッチャーで選択している状態)は緑色で発光させる。
◯インカム; 通話機能
・ 親機→子機
・ 子機→親機
・ 子機間
・ 親機→子機(一斉呼び出し・緊急呼び出し機能)
◯リターン; ATEM TelevisionStudio 「Multi View」 を各端末へ配信する機能
これも現場の藩士より「基本的に他のカメラがどのような映像を撮っているかわかれば良いだけだから、大きく表示されなくていい。むしろマルチビューを送ってほしい。」との意見が上がり、リターン画像のみならず Multi view を送信する仕様にしました。
◯キッカケ表
キッカケ表をテキストで送信する機能。
◯その他テキスト情報
機材藩ではカメラをローテーションで回す事が多いのですが(自分が得意な演目を撮影する際、適材適所に配置する為・様々な機材を少しでも多く触れる用にする為)、自分が次にどのカメラにつけばいいかわからなくなる時があり、それを現場本部のシフト管理者から「Aさんは次は2カメ行ってください」などとテキストで送る為の機能。
-画面イメージ-
※ 画面は開発中の画面で、実際と仕様が大きく異なりますのでご了承下さい。
図1: 機材藩制作支援システム製作中画面 (上段はオンエア状態, 下段はスタンバイ状態)
図2: 機材藩制作支援システム概念図
もちろん人数が多く財力のある団体ならば、ケーブルを何本も敷設したり、上述したBMD社のユニットを購入し運用したりすることが可能ですが、少人数で各々自腹で機材を購入したりしているのでなかなか厳しいものがあります…
少人数・低資金を逆手にとってこんな新しい機材開発も行えるのが「機材藩」の強みではないかと勝手に思っています。
また、開発に動きがあり次第、お知らせします。
(えの)